モノリスに あえて触れさせた 「彼ら」 |
ヒトザル も人類も、自分達より遥かに上位の存在に対面すると、どうやら、それに触れてみたくなるようだ。 モノリス を通して それを設置した 「彼ら」 にである。 これは、ヒトザルや人類に元々備わっていた本能だろうか? いや、「彼ら」 が、ヒトザルや人類に、モノリスに触れることで進化のスイッチを押すように、進化 (運命) をみずから選択するように仕向けたことなのだ。 そして 「彼ら」 は、冷徹な眼差しでただ黙ってそれを眺めていればよかった。 2001年宇宙の旅 (小説/映画) の ベース にはキリスト教に裏打ちされた 哲学 があると言われることがあるが (もちろん ゾロアスター教 という意見もあるのだが) この、「みずから選択させる」 という姿勢は、一見すると仏教的でもある。 仏教には 「みずからの意志で運命を切り開ける」 という強烈な思想があり、運命に対するその選択眼は各人の 「業」 に他ならないとされるからである (「六つの鳥居」 の選択などで語られる)。 しかし 「彼ら」 はブッダではなかった。 ヒトザルや人類の主体性など眼中になかったのである。 ヒトザルや人類がモノリスに触れことで 進化のスイッチを押すことは 「彼ら」 が既に決めていたことなのだ。 ヒトザルや人類に与えられたのは時間的猶予だけだったのである。 結果が既に判っていたからこそ 「彼ら」 は数百万年もの間待ち続けることが出来たといえる。 |
参考 2001年宇宙の旅 (早川書房) 2010年宇宙の旅 (早川書房) 2001 A Space Odyssey (Paperback) 2010 Odyssey Two (Paperback) 2001 A Space Odyssey (MGM) 2010 Odyssey Two (MGM.UA) Script: Internet Resource Archive (*) 2001年宇宙の旅 (早川書房) より引用 (**) 2010年宇宙の旅 (早川書房) より引用 |
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Writer: Masaakix Web site: http://www.masaakix.interlink.or.jp/ |