ディスカバリー号事件とアポロ13号クライシス (危機)

1970年4月11日 13時13分 (米ヒューストン時間)、月面着陸をめざして打ち上げられたアポロ13号は船体の一部で起きた爆発事故のため月着陸どころか地球への帰還さえも危ぶまれていた (偶然の一致だろうが「13」という数字が多すぎる)。

ところでこのアポロ13号であるが、2001 (2010) 年宇宙の旅のディスカバリー号と微妙に重なるのだ。

まずクルーであるが、ジェームス (ジム)・ラベルフレッド・ヘイズジョン (ジャック)・スワイガート である。 ラベル船長は 1968年の アポロ8号 で月軌道周回飛行を経験しているベテラン飛行士だ。「二人のボーマンという名の船長」で取り上げたフランク・ボーマン船長と共にミッションを遂行した男である。そして爆発事故は、このラベル船長がテープレコーダーで 「2001年宇宙の旅のテーマ曲 ( ツァラトゥストラはかく語りき )」を聴いた後に起こった、、、

スワイガートはアポロ13号ミッションでは司令船パイロットを務めた。妻帯者が多い中、38歳で独身である。また彼は、打ち上げ直前に急遽交代したクルーでもあった。だからといって彼を特別視することはない。いや逆に、彼の働きがなかったら地球への帰還は成功しなかったのではないかとさえ思える。ただ、事実として、爆発事故のスイッチを押したのは彼スワイガートである。酸素タンクの攪拌用ファンのスイッチを押した直後に爆発が起こったのだ (1982年12月、スワイガートはガンで死去する)。

アポロ計画で使用された部品の精度は99.99.....% などと言われていた。それが、ファンから出たスパークが原因で爆発事故を引き起こした、それも、ファンのケーブルの被覆が剥けていたのが原因とは信じがたいことである。

ここで、酸素タンクが爆発したということの意味を考えてみると、酸素 (液体) は燃料電池に不可欠である→バッテリー不足。水の供給は燃料電池の化学反応に頼っていた→水不足。当然ながら→クルー達が生きるための酸素が不足するのである。

しかし、そんなクライシス状況下ではあったがクルー達は 「フライバイ/スイングバイ」 で地球に帰還したのだ。つまり、その場で方向転換せずに そのまま月に向かい月の引力を利用して加速し、自由帰還軌道に乗って戻って来た (2010年でも木星フライバイ/スイングバイを敢行している)。

そして、その帰還までの間、クルー達はスペースポッド程度の月着陸船を救命ボートにみたてて生きながらえた (月着陸船は2人乗りである)。バッテリー不足を補うために不必要な電気系統は全て切断した。こじつければ 「システムのロボトミー手術」 で対処したのである。照明、ヒーター、、、コンピュータ (月着陸船の誘導装置だけは機能させていた)。それゆえに、大部分は管制センター側のコンピュータに頼ったが、手動で行なった場面もあった。誘導装置を切られた司令船が 2010年のディスカバリー号のように クルクル回りだしたのである。

特に興味深いのは、地球への自由帰還軌道に乗るためのエンジン噴射に際しコンピュータが 「不当に噴射することになるが良いのか?」 と尋ねたという事実だ。2010年のアノ場面が目に浮かんでくるのである。もちろん、当時アポロに搭載されていたコンピュータはトランジスタを使用したものであり、HAL9000のような受け答えが出来ないのは当然であるが、シチュエーションが酷似しているのである。

だからといって、「アポロ13号の真の任務を知っているコンピュータが反乱を起こした」 などと、そこまでこじつけるつもりはないのだが。

参考
National Aeronautics and Space Administration (NASA) 2001年宇宙の旅 (早川書房) 2010年宇宙の旅 (早川書房) 2001 A Space Odyssey (Paperback) 2010 Odyssey Two (Paperback) 2001 A Space Odyssey (MGM) 2010 Odyssey Two (MGM.UA) Script: Internet Resource Archive (*) 2001年宇宙の旅 (早川書房) より引用 (**) 2010年宇宙の旅 (早川書房) より引用

Writer: Masaakix Web site: http://www.masaakix.interlink.or.jp/

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