003) ボーマンの行なったHALのロボトミー手術は残酷か

人間に対するロボトミー手術の詳細は知らないが、少なくとも、意識のある状態のまま手術が行われることはあり得ない。

HALの場合はどうだったのかというと、それは 意識のある覚醒した状況で行われたのである。「模倣」 とはいうものの自己のシステムの作動状況を認識できる状態にあったのだ。

肉体の無いHALが肉体の叫びである 「苦痛」 を感じたとは思えないが、記憶ユニットを抜かれるたびに物理的な異変を感じとっていたことは事実である。「心を破壊する・・止めてくれ」 と懇願さえしたのである。電源OFFで作動を停止させる場合とは違って、これはやはり残酷である。

例えとしては適切ではないが、火あぶりの刑でジリジリと焼かれる地獄の苦しみを味わったのではないだろうか。

参考
2001年宇宙の旅 (早川書房)
2010年宇宙の旅 (早川書房)
2001 A Space Odyssey (MGM)
台本(Internet Resource Archive)
(*) 2001年宇宙の旅 (早川書房) から引用
(**) 2010年宇宙の旅 (早川書房) から引用
2001 A Space Odyssey (Paperback)
2010 Odyssey Two (Paperback)
2010 Odyssey Two (MGM.UA)
その他

Writer: masaakix Web site: http://www.masaakix.interlink.or.jp/

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