月とモノリスの裏話

小説2001年宇宙の旅は アポロ11号 の月面着陸以前の作品であるが、月をモノリスにからめ、不可思議な天体とみているふしがあった。「モノリスは」 「300万年前に」 「人類が猿人 であった時代に」 「月を訪れた生物が故意に」 「磁気異常 (TMA) という目印を付けて埋めたもの」 であると。

モノリスの古さは月の古さの裏書きであり、モノリスの異常さは月の異常さの裏書きであると言えはしないか。

そして奇しくも、その後のアポロ計画が、実際の月も得体の知れない天体であることを証明してしまうのである。地球の最古の岩石は約35億年の古さだ。放射性同位元素の半減期を用いて算出された地球の年齢は約46億年となる。

一方、アポロ計画で持ち帰った月の岩石は その殆どが50億年プラスマイナス4億年であり、そこから算出された月の推定年齢は約70億年であった。さらに、マスコン (MASCON) と呼ばれる表面の重力異常地帯も判明したのだ。

ここに、月に関する既成概念は見事に崩れ去った。小説の行間に隠されたクラークの 「科学的予言」 は見事に的中したのである。

参考
National Aeronautics and Space Administration (NASA) 2001年宇宙の旅 (早川書房) 2010年宇宙の旅 (早川書房) 2001 A Space Odyssey (Paperback) 2010 Odyssey Two (Paperback) 2001 A Space Odyssey (MGM) 2010 Odyssey Two (MGM.UA) Script: Internet Resource Archive (*) 2001年宇宙の旅 (早川書房) より引用 (**) 2010年宇宙の旅 (早川書房) より引用

Writer: Masaakix Web site: http://www.masaakix.interlink.or.jp/

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