__ Russian Rockets, Launch Vehicles

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V2号-A9A10 R1 R7-SS6-Sapwood Sputnik 1号 Sputnik 3号 Vostok 8K72 Vostok 8K72K Luna 8k72 Vostok 1号 Voskhod 1号 Soyuz 1号
Proton 2 Proton K D-1 Proton K D-1e Proton M N-1 Rocket

V-2号 A-9(A-4b)/A-10 Project


第二次世界大戦後、米ソ両国は、V-2号(A-4 〜)及びロケット・エンジニアをドイツから獲得して自国のロケット開発にはずみをつけたが、その際 ひときわ注目されたのが V-2号の 「A-9(A-4b)/A-10 Project」 である。 A-10 と翼付きの A-9(A-4b) を合体させて二段ロケットなみの射程距離を目論むこのプロジェクトは、戦時中に完了することはなかったが、多段ロケットのプロトタイプともとれる内容であり、その後の大型ロケット開発に多大な影響を及ぼすことになる。

第一段に相当する A-10 は全長約20m、直径約4mで、重量は約69トン。シングル・ロケット・エンジン(単燃焼室)のみで離陸時に約235トンの強大な推力をたたき出す。一方の第二段に相当する A-9(A-4b) の全長は約14m、重量約16トン、そして推力は約29トン。なお、直径は約1.7mだがアングル約45度で翼が付属する。

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※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。

R-1/SS-1A Scunner(SRBM) 〜 R-7/SS-6/Sapwood(ICBM)


1948年10月31日、旧ソ連のミサイル試射場 カプスティン・ヤール (Kapustin Yar) から R-1/SS-1A が初めて打ち上げられた。全長約17m、直径約1.64m、重量約13トン。液体酸素とアルコールを使用したロケット・システム(RD-100/Thrust:約31トン)を採用して、離陸時の推力は約28トン。ミサイルとしての射程距離(弾道)は約185マイル(約296km)を誇った。1945年から始まった V-2号 ベースの「国産」ロケット(ミサイル)開発がようやく実を結んだのである。

米ソ冷戦の当然の成り行きなのか、V-2号 は弾道ミサイルとしての再デビューを運命づけられていた。 そして R-1 は、数年かかって R-7/SS-6/Sapwood へとスケールアップしていく。 これはすなわち、近距離弾道弾(SRBM/short-range ballistic missile/射程距離1000km未満) → 中距離弾道弾(IRBM/intermediate range ballistic missile/射程距離1000km〜5500km) → 大陸間弾道弾(ICBM/intercontinental ballistic missile/射程距離5000km〜) と辿った大型ロケット(ミサイル)進化の道筋であり、同時に、国家の威信をかけた宇宙開発競争の序章でもあったのだ。

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※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ Kapustin Yar: カプスティン・ヤール。旧ソ連初のミサイル試射場。その立地条件の良さから国家(軍)の施設として特別扱いされていた。ドイツから獲得したV-2号や、R-1、R-5〜などの打ち上げ基地として名をはせたが、その他、コスモスをはじめとする軍事及び科学衛星の打ち上げにも使用されてきた。第二次世界大戦のスターリングラード攻防戦でお馴染みのボルゴグラードに程近い、カスピ海に注ぐボルガ川沿いに位置している(バイコヌール宇宙基地はそこから南東約1400km先にある)。

ICBM, R-7(8K71 or 8K74)/SS-6/Sapwood


1957年5月15日のバイコヌール宇宙基地、ここで世界初の ICBM 試射が行われた。結果的には失敗だったが、そのロケットこそが セルゲイ・コロレフ (Sergei P. Korolev) 設計の R-7/SS-6/Sapwood なのである。その後 開発は急ピッチに進み ICBM の試射に世界で初めて成功する。1957年8月21日のことであった。同宇宙基地を後にした R-7/SS-6/Sapwood は ICBM に相応しい射程距離を記録し、ここに、旧ソ連における ICBM/大型ロケットの「原点」が誕生したのである。

R-7/SS-6/Sapwood には合計32個のエンジンが備わっているが、そのうちの12個のエンジン(コアのロケットに 4個、外周のブースターに 2個ずつ計8個) は軌道修正/姿勢制御用のバーニア・エンジン(vernier engine)で、残りの20個のエンジンが推力に関係してくる。 RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約99トン) x4、RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約93トン)x1 である。


R-7/SS-6/Sapwood のシステム構成はユニークだ。コアのロケット(core rocket/RD-108 x1)の周りに4つのブースター(strap-on boosters/RD-107 x4)を配し、それら4つのブースターを切り離した後はコアのロケットのみがその推進力を受け持つ。従って、「RD-107 x4」 のとらえかた次第でステージ(段)構成についての解釈が違ってくることになる。 「RD-107 x4」 と 「RD-108 x1」 を同一ステージと解釈すれば 「一段式」 となるが、それらを独立したものとするなら 「二段式」 となる。あるいは、その中間形態として 「一段半式/one and one-half stage」 という解釈もあり得る。通常は、「RD-107 x4」 を 「ステージ0」、 「RD-108 x1」 を 「ステージ1」 と解釈して、実質 「二段式」 とするようである。

R-7/SS-6/Sapwood は全長約28m、コア部分の直径約3m、重量は約270トン。推進剤には液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用して、離陸時の推力は約396トン。なお、ミサイル(ICBM)としての射程距離(弾道)は約12,000kmで、3メガトン級の核弾頭を装備できた。

R-7/SS-6/Sapwood は、その後も改良を重ねながら 1968年の完全撤収まで ICBM として現役を通すが、液体ロケットの ICBM は次第に時代遅れとなり、ミニットマン(Minuteman/米国のICBM) のような多段式個体ロケットが時代の趨勢を占めるようになっていく。

なお、宇宙開発の Launch Vehicle としても、R-7/SS-6/Sapwood のモディファイ・バージョン(A シリーズ等)が頻繁に使われている。スプートニク計画ボストーク計画ボスホード計画、、、ルナ計画ゾンド計画 (3号)、、、これら軍事色の薄いプログラムで活躍した R-7/SS-6/Sapwood (Family) に限って 「優秀なロケット」 と称賛したい。

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※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ Launch Vehicle: 打ち上げ用ロケットのこと。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「8D74」。
※ RD-108: コア部分のロケット。別名称は「8D75」。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ engine/エンジン: 筆者は、「RD-107ブースターは、推力に係わる4個のエンジンと、軌道修正/姿勢制御用の2個のバーニヤ・エンジンで構成されている」 という意味でこの単語を使っている。なお、「engine/エンジン」 を、 「combustion chamber/燃焼室」 又は 「nozzle/噴射口」 と置き換えた表記もよく見かける。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。


<Sputnik Program(1号〜2号)>
Sputnik 8K71/A-1/SL-1, Modified R-7(8k71)/SS-6/Sapwood

1957年10月4日、世界初の人工衛星スプートニク1号が バイコヌール宇宙基地 から打ち上げられた。Launch Vehicle は R-7(8k71)/SS-6/Sapwood をモディファイした A-1/SL-1/...Sputnik 8K71 である。

この Launch Vehicle は R-7/SS-6/Sapwood をモディファイした二段式で、一段目(ステージ0)は RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約99トン) x4、二段目(ステージ1)は RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約93トン) x1 となっている。推進剤には液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用し、離陸時の推力は約396トンだった。 全長約28m、コア部分の直径約3m、重量約268トン。

スプートニク1号スペースクラフトは直径0.6m弱、重量約84kgの球体である。同スペースクラフトは大気圏に再突入するまで21日間にわたって電波を送信しつづけ、地球大気の分析に寄与した。ICBM/大型ロケットの開発に立ち遅れていた米国は、さぞや驚かされたことだろう。

1957年11月3日、早くもスプートニク2号が打ち上げられる。有人飛行の下準備が既にこの頃から始まっていたのは確実で、スペースクラフトの重量は一気に6倍(約500kg)となり、そこには初の動物クルー/ライカ犬まで搭乗していた。この犬は野良犬だったシベリアン・ハスキーで、西側では 「Muttnik (Mutt と Sputnik を合わせた造語?)」という愛称が付けられる。地球上の動物として初めて宇宙飛行(地球周回軌道上の飛行)を行なったことになるが、悲しいことに、回収されぬまま大気圏に再突入して消滅してしまった。それは、回収に失敗したというよりも 回収しなかったというべきものだろう。 スプートニク2号のカプセルは回収を想定していない構造で、生命維持装置も大気圏再突入前に機能を停止したに違いないからだ。

有人飛行のデモンストレーションは、その後も、Korabl-Sputnik という名のもとで継続していくことになる( 〜スプートニク10号)。

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※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「8D74」。
※ RD-108: コア部分のロケット。別名称は「8D75」。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ Korabl-Sputnik x/Spaceship Satellite x: 有人飛行を想定したようなペイロードのミッション。カプセルや生物(犬など)が打ち上げられた(衛星船 x号)。


<Sputnik Program(3号)>
Sputnik 8A91/A-1 , Modified R-7(8k71)/SS-6/Sapwood

1958年4月27日にバイコヌール宇宙基地からスプートニク3号が打ち上げられた。Launch Vehicle は R-7/SS-6/Sapwood をモディファイした二段式(「一段半式」)のロケットで、一段目(ステージ0)には RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約99トン) x4、二段目(ステージ1)は RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約82トン) x1 となっている。推進剤には液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用し、離陸時に推力約386トンを出す。 全長約28m、コア部分の直径約3m、重量約268トン。

打ち上げ時のスプートニク3号は、全長(Total Length)約31mで、ペイロードが1,327kgだった。3号に至って初めてペイロード(スペースクラフト)の重量が1トンをオーバーしたことになる。この重量はマーキュリー計画(米国初の有人飛行計画)のスペースクラフトと殆ど同じであり、有人飛行がさらに現実味を帯びてきたともいえる。

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※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「8D76」。
※ RD-108: コア部分のロケット。別名称は「8D77」。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。


<Sputnik Program(4号〜6号)=Korabl-Sputnik(1号〜3号)>
Vostok 8K72/A-1 , Modified R-7(8k71)/SS-6/Sapwood


「Korabl-Sputnik x/Spaceship Satellite x/衛星船 x号」 もスプートニク計画の一環だが、後の有人飛行を想定したようなペイロード(カプセルや生物の重量)が特徴的なミッションといえる。Launch Vehicle は Korabl-Sputnik 1(Sputnik 4) 〜 Korabl-Sputnik 3(Sputnik 6) については Vostok 8K72/A-1 が使われている。R-7/SS-6/Sapwood をモディファイしたこの Launch Vehicle は三段式のロケットで、一段目(ステージ0)は RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約99トン) x4、二段目(ステージ1)は RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約93トン) x1、三段目(ステージ2/Vostok upper stage)は RD-0105ロケット(1 engine = Thrust:約5トン) x1 となっている。推進剤には全ステージとも液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用して、離陸時の推力は約395トンである。全長約31m、コア部分の直径約3m、重量は約281トン。

1960年5月15日の Korabl-Sputnik 1(Sputnik 4) では、ロボット・クルーを含む重量約2.5トンのスペースクラフトが打ち上げられたがロボットの回収には失敗する。 しかし、続く 1960年8月19日の Korabl-Sputnik 2(Sputnik 5) において とうとう二匹の犬を搭乗させるに至り(回収にも成功)、1960年12月1日の Korabl-Sputnik 3(Sputnik 6) でボストーク級のスペースクラフト(重量約4.6トン)が実現された。


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※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「8D74」。
※ RD-108: コア部分のブースター。別名称は「8D75」。
※ RD-0105: 三段目(ステージ2)のロケット。
※ Vostok upper stage: R7-/SS-6/Sapwood に追加された三段目(ステージ2)のこと。第一世代の追加ステージ(First Generation Upper Stage)。Block-Ye upper stage。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。
※ 二匹の犬: Strelka/Belka
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。


<Sputnik Program(9号、10号)=Korabl-Sputnik(4号、5号)>
Vostok 8K72K/A-1 , Modified R-7/SS-6/Sapwood


スプートニク計画の一環である 「Korabl-Sputnik x/Spaceship Satellite x/衛星船 x号」のうち、Korabl-Sputnik 4(Sputnik 9)と Korabl-Sputnik 5(Sputnik 10) の打ち上げについては Vostok 8K72K /A-1 が使われた。 R-7/SS-6/Sapwood をモディファイしたこの三段式ロケットは、一段目(ステージ0)が RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約99トン) x4、二段目(ステージ1)が RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約93トン) x1、そして三段目(ステージ2/Vostok upper stage)が RD-0109ロケット(1 engine = Thrust:約5.6トン) x1 という構成である。推進剤には全ステージとも液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用し、離陸時に推力約397トンを出す。全長約31m、コア部分の直径約3m、重量は約281トン。

1961年3月9日の Korabl-Sputnik 4(Sputnik 9) と 1961年3月25日の Korabl-Sputnik 5(Sputnik 10) では、いずれもが、ペイロード約4.7トン、犬を搭乗させて回収にも成功している。なお、同年4月12日のボストーク1号(人類初の有人飛行)でも Vostok 8K72K/A-1 が使われることになる。

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※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「8D74」。
※ RD-108: コア部分のロケット。別名称は「8D75」。
※ RD-0109: 三段目(ステージ2)のロケット。別名称は「8D719」。
※ Vostok upper stage: R7-/SS-6/Sapwood に追加された三段目(ステージ2)のこと。第一世代の追加ステージ(First Generation Upper Stage)。Block-Ye upper stage。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。


<Luna Program(1号〜14号)>
Luna(Lunik) 8k72/A-1/SL-3, Modified R-7/SS-6/Sapwood


1959年1月2日にバイコヌール宇宙基地から打ち上げられたルナ(ルニク)1号は、17〜18年もの長期にわたって実施されたルナ計画(月探査)の、その基礎固めを始めた。Launch Vehicle には R-7/SS-6/Sapwood をモディファイした A-1/SL-3/...Luna 8K72 が使われている。 この Launch Vehicle は三段式で、一段目(ステージ0)には RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約101トン) x4 が使われ、二段目(ステージ1)には RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約96トン) x1 が、そして三段目(ステージ2/Luna upper stage)には RD-0105ロケット(1 engine = Thrust:約5トン) x1 がそれぞれ使われていた。推進剤は全ステージとも液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用し、離陸時の推力は約403トンである。全長約31m、コア部分の直径が2.6m、重量は約277トン。

打ち上げられたルナ(ルニク)1号は、その後 地球の引力圏を離脱して月に向かい、その間に様々な観測やデータ収集を行なってミッションを終えている。なお、ルナ1号のペイロードは約361kgだった。

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※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「8D74」。
※ RD-108: コア部分のロケット。別名称は「8D75」。
※ RD-0105: 三段目(ステージ2)のロケット。
※ Luna upper stage: R7-/SS-6/Sapwood に追加された三段目(ステージ2)のこと。第一世代の追加ステージ(First Generation Upper Stage)。Block-Ye upper stage。なお、ルナ4号からは第二世代の追加ステージ(Second Generation Upper Stage)となる。
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。


<Vostok Program(1号〜6号)>
Vostok 8K72K/A-1/SL-3, Modified R-7/SS-6/Sapwood


Vostok 8K72K は、スプートニク・プログラムにおける 「Korabl-Sputnik 4, 5/Spaceship Satellite 4, 5」 の Launch Vehicle として既に使われていたが、1961年4月12日、人類初の有人宇宙船ボストーク1号(ユーリー・ガガーリン)を打ち上げたことが特に名高い。使用された Launch Vehicleは R-7/SS-6/Sapwood をモディファイした三段式のロケット Vostok 8K72K で、そのステージ構成は、一段目(ステージ0)は RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約99トン) x4、二段目(ステージ1)は RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約93トン) x1、三段目(ステージ2/Vostok upper stage)は RD-0109ブースター(1 engine = Thrust:約5.6トン) x1 となっていた。推進剤には全ステージとも液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用し、離陸時に推力約397トンを出す。全長約31m、コア部分の直径約3m、重量は約281トン。

ボストーク1号のペイロードは約4.7トンだった。なお、スペースクラフトは直径約2.3mの球形状カプセルと機械船からなっている。

1号の成功後もボストーク計画は順調にプログラムを消化していく。Vostok 8K72K による打ち上げに信頼性を付加し、実際の宇宙空間で高度な飛行技術を習得するとともに、その飛行時間記録(宇宙滞在期間記録)をも更新していった(5号が最長)。そして、なぜに 「私はカモメ」 なのか当時の筆者は理解できなかったが、女性(テレシコワ)が宇宙進出を果たしたプログラムとしても印象深い(ボストーク6号、1963年6月16日)。もっとも、「次期プログラムの問題」もあってか、旧ソ連側としては喜んでばかりもいられなかったはずで、米国がアポロ計画を引っ提げて猛追を始めたことと相まって、追われる者の 「あせり」 のようなものが芽生え始めていた時期ともいえる。

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※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「8D74」。
※ RD-108: コア部分のロケット。別名称は「8D75」。
※ RD-0109: 三段目(ステージ2)のロケット。別名称は「8D719」。
※ Vostok upper stage: R7-/SS-6/Sapwood に追加された三段目(ステージ2)のこと。第一世代の追加ステージ(First Generation Upper Stage)。Block-Ye upper stage。
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。
※ Korabl-Sputnik x/Spaceship Satellite x: 後の有人飛行を想定したようなペイロードのミッション。カプセルや生物(犬など)が打ち上げられた(衛星船 x号)。
※ ボストーク: ウォストークとも表記し、ロシア語で「東」を意味する。
※ ユーリー・ガガーリン(Yuri Alekseyevich Gagarin): 1934年3月9日生まれ。旧ソ連の宇宙飛行士である彼は、1961年4月12日に打ち上げられたボストーク1号において人類初の宇宙飛行を行なった。その後、ソユーズ1号のバックアップ・クルーなどを務めたが、1968年3月27日に飛行訓練中の事故にて殉職した。旧ソ連の英雄である。
※ ブイコフスキーの搭乗したボストーク5号はテレシコワの6号に並行して飛行し(ランデブーに非ず)、ある意味6号をサポートしていた。
※ ヴァレンティナ・V・テレシコワ(Valentina Vladimirovna Tereshkova)は、パラシュートで培われた男勝りの体力でこの大役を射止めたのだが、一方、その精神面(性格・気質面)はというと、かなり危ないエピソードが数多く残っており、穿った見かたをすれば彼女自身が女性の宇宙進出に疑問符を付加してしまったともいえる(女性のみの宇宙飛行はこれが最初で最後となるのか?)。なお、「私はカモメ」は交信内容を単純に翻訳したものが一人歩きしてしまったものであり、さしたる意味はない。当時の筆者はその直訳されたフレーズを通して彼女に爽やかさを感じていたのだが、後にその事実を知ってがっかりしてしまった経験がある。


<Voskhod Program(1号、2号)>
Voskhod 11A57/A-2/SL-4, Modified R-7/SS-6/Sapwood


ボスホード計画はボストーク計画と表記が似ていて間違えやすいが(筆者だけかもしれないが)、それはさておき、ハード的にはボストーク計画に比しよりスケールアップしている。

ボスホード1号は1964年10月12日に打ち上げられた。使用された Launch Vehicle は、R-7/SS-6/Sapwood をモディファイした三段式のロケット Voskhod 11A57 で、そのステージ構成は、一段目(ステージ0)は RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約102トン) x4、二段目(ステージ1)は RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約96トン) x1、三段目(ステージ2/Voskhod upper stage)は RD-212(?)ロケット(1 engine = Thrust:約30トン) x1 となっていた。推進剤には全ステージとも液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用し、離陸時に推力約408トンを出す。全長約31m、コア部分の直径約3m、重量は約298トン。なお、ペイロード(スペースクラフトなどの重量)は約5.3トンである。三段目とスペースクラフトが大幅にスケールアップ/パワーアップされているのがよくわかる。

このプログラムは、1964年10月12日のボスホード1号で三人のクルーによる宇宙飛行に成功し、続く 1965年3月18日のボスホード2号でも人類初の宇宙遊泳(EVA)を成し遂げている。

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※ ボスホード: ウォスホートとも表記する。
※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「8D74K」。
※ RD-108: コア部分のロケット。別名称は「8D75K」。
※ RD-212(?): 三段目(ステージ2)のロケット。別名称は「8D715K」。
※ Voskhod upper stage: R7-/SS-6/Sapwood に追加された三段目(ステージ2)のこと。Vostok upper stage よりもスケールアップ/パワーアップしている。
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。
※ 三人のクルー: コマロフ(Vladimir Mikhailovich Komarov/船長)、フェオクチストフ(Konstantin Petrovich Feoktistov/エンジニア)、エゴロフ(Boris Borisovich Yegorov/ドクター)の三人。
※ 宇宙遊泳: 船外活動(EVA、extravehicular activity)のことで、スペース・ウォーク(Space Walk)ともいう。人類初の宇宙遊泳はボスホード2号のアレクセイエフ・レオノフ(Alexei A. Leonov)が成し遂げた。アメリカ人初はジェミニ4号のエドワード・ホワイト(Edward H. White II)。なお、アレクセイエフ・レオノフは「幻の有人月着陸計画」のクルーとして人類初の月面到達者(月着陸船のクルー)になるはずだった。


<Soyuz Program>
Soyuz 11A511/A-2/SL-4, Modified R-7/SS-6/Sapwood


Soyuz型ロケットは 1963年から使われていたが、1967年4月23日のソユーズ1号の打ち上げで名実共に R-7/SS-6/Sapwood ファミリー の基幹ロケットとなった。ソユーズ計画以外でも、コスモスシリーズ(科学衛星/軍事衛星)をはじめとする主要プログラムで長年に渡って使われていく。

Soyuz 11A511 は R-7/SS-6/Sapwood をモディファイした三段式のロケットで、一段目(ステージ0)は RD-107ブースター(4 engines = Thrust:約101トン) x4、二段目(ステージ1)は RD-108ロケット(4 engines = Thrust:約100トン) x1、そして三段目(ステージ2/Soyuz upper stage)は RD-0110ロケット(1 engine = Thrust:約30トン) x1 となっている。推進剤は全ステージとも液体酸素(LOX/Liquid Oxygen/酸化剤)とケロシン(Kerosene/燃料)を使用している。全長約45m(U)〜50m以上(U2)、重量約310トン。ペイロード(スペースクラフトなどの重量)はソユーズ1号当時で約6.5トンである。

ソユーズ1号は悲惨なミッションとなってしまった。帰還時に パラシュートの不具合で地面に激突し、モジュールはクラッシュ/炎上。 このアクシデントでクルーのコマロフ(Vladimir Mikhailovich Komarov)が殉職した。

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※ SS-6: アメリカ軍内の呼称。
※ Sapwood: NATOのコードネーム。
※ R-XX: 旧ソ連内での呼称。
※ RD-107: RD-108 の周囲に付属している4つのブースター。strap-ons/strap-on boosters。別名称は「11D511」。
※ RD-108: コア部分のロケット。別名称は「11D512」。
※ RD-0110: 三段目(ステージ2)のロケット。別名称は「11D55」。
※ Soyuz upper stage: R7-/SS-6/Sapwood に追加された三段目(ステージ2)のこと。Block-I upper stage。
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ booster/ブースター: コア(中心)のロケットをサポートする補助ロケット。ただし、コアのロケットのこともブースターと呼ぶことがある(例えば 「R7 の core booster は RD-108 である」 のごとく)。筆者は補助ロケットの意味で使っている。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。


Proton 2/(D)/8K82/SL-9/UR-500


ウラジミール・チェロメイ開発のプロトン・ロケットは、弾道ミサイル(R7-SS-6/Sapwood)をベースとしない初めてのロケットだ。開発自体は1960年代前半から行われていたが、表舞台に登場するのは1965年以降となる。ステージ構成からみると、二段式、三段式、四段式(Block D)などのモデルがあるが、この Proton 2/8K82/SL-9 は、初期の、二段式プロトン・ロケットである。

一段目は RD-253 engine(Thrust:約167トン) x6 = Thrust:約1068トン、二段目は RD-0210 engine(Thrust:約59トン) x4 = Thrust:約245トン。一段目の推進剤には Nitrogen/tetroxide を使用し、離陸時に推力約902トンを出した。全長約39m、直径が約4.2m、重量は約595トン。なお、ペイロードは約8.5トンである。

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※ PROTON : NATOコードネーム
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ UR : Universal Rockets の略。
※RD-253 engine : 一段目で使われているエンジン。別名称は「11D48」。
※ RD-0210 engine : 二段目で使われているエンジン。別名称は「8D411K」。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。


Proton K/(D-1)/8K82K/SL-13/UR-500K


Proton K/8K82K/SL-13 は三段式のプロトン・ロケット(Proton 3) である。ステージ構成は、一段目が RD-253 engine(Thrust:約167トン) x6 = Thrust:約1068トン、二段目が RD-0210 engine(Thrust:約59トン) x4 = Thrust:約245トン、三段目は RD-0212 engine(Thrust:約63トン) x1、 となっている。推進剤は、一段〜三段とも Nitrogen/tetroxide を使用し、離陸時の推力は約902トンである。全長約50mで、直径は約4.2m、重量が約707トン。なお、ペイロードは20トン前後である。

このロケットは、主にミール(Mir/宇宙ステーション)関連ミッションの Launch Vehilce として使われた。

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※ PROTON : NATOコードネーム
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ UR : Universal Rockets の略。
※ RD-253 engine : 一段目で使われているエンジン。別名称は「11D48」。
※ RD-0210 engine : 二段目で使われているエンジン。別名称は「8D411K」。
※ RD-0212 engine : 三段目で使われているエンジン。別名称は「8D49」。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。


<Luna Program(15〜23号), Zond Program(4〜8号)>
Proton K ,Block D/(D-1e) /8K82K/11S824/SL-12/UR-500K


Proton K/8K82K/11S824/SL-12 は 四段目(Block D)を備えているプロトン・ロケットである。ステージ構成は、一段目が RD-253 engine(Thrust:約167トン) x6 = Thrust:約1068トン、二段目は RD-0210 engine(Thrust:約59トン) x4 = Thrust:約245トン、三段目が RD-0212 engine(Thrust:約63トン) x1、そして四段目(Block D)は RD-58 engine(Thrust:約8.5トン) x1 となっている。推進剤は、一段〜三段は Nitrogen/tetroxide で、四段のみ液体酸素 (LOX/Liquid Oxygen)とケロシン(Kerosene) を使用し、離陸時の推力は約902トンである。全長約57mで、直径は約4.2m、重量が約707トン。

このロケットは、無人月探査計画の ルナ計画(15号〜23号)や ゾンド計画(4号、5号、6号、7号、8号)、あるいは静止衛星打ち上げなどに使われた(ペイロードは5トン程度のものが多かった)。なお、ソンド計画 においては、プロトン・ロケット及びゾンド宇宙船の信頼性がネックとなって有人の月周回飛行が中止されている。有人月面着陸を目指していたセルゲイ・コロレフ開発の N-1 ロケット にしても同様のことがいえるが、これら月をターゲットとするロケットの開発が立ち遅れた原因は、「分散されてしまった開発力」 とみるのが妥当なようだ。技術的な問題はもちろんあっただろうが、旧ソ連の本来の開発力が それほどまでに米国に劣っていたとは思えないからだ。彼ら二人(ウラジミール・チェロメイ、セルゲイ・コロレフ) の才能が融合していたらアポロ計画と同等のミッションが遂行されていったに違いない。

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※ PROTON : NATOコードネーム
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ UR : Universal Rockets の略。
※ RD-253 engine : 一段目で使われているエンジン。別名称は「11D48」。
※ RD-0210 engine : 二段目で使われているエンジン。別名称は「8D411K」。
※ RD-0212 engine : 三段目で使われているエンジン。別名称は「8D49」。
※ RD-58 engine : 四段目(Block D)で使われているエンジン。別名称は「11D58」。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。


Proton M ,Block D/8K82K/11S824M/SL-12/UR-500K


Proton M/8K82K/11S824M/SL-12 は 四段目(Block D)のエンジンを「11D58M」にしたプロトン・ロケットである。ステージ構成は、一段目が RD-253 engine(Thrust:約167トン) x6 = Thrust:約1068トン、二段目は RD-0210 engine(Thrust:約59トン) x4 = Thrust:約245トン、三段目が RD-0212 engine(Thrust:約63トン) x1、そして四段目(Block D)は RD-58M engine(Thrust:約8.5トン) x1 となっている。推進剤は、一段〜三段は Nitrogen/tetroxide で、四段のみ液体酸素 (LOX/Liquid Oxygen)とケロシン(Kerosene) を使用し、離陸時の推力は約902トンである。全長約57mで、直径は約4.2m、重量が約707トン。

このロケットは、無人月探査計画の ルナ計画(24号)、 金星探査計画(Venera 11〜)などで使われた。ペイロードは4トン〜5トン強のものが多かった。

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※ PROTON : NATOコードネーム
※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ UR : Universal Rockets の略。
※ RD-253 engine : 一段目で使われているエンジン。別名称は「11D48」。
※ RD-0210 engine : 二段目で使われているエンジン。別名称は「8D411K」。
※ RD-0212 engine : 三段目で使われているエンジン。別名称は「8D49」。
※ RD-58M engine : 四段目(Block D)で使われているエンジン。別名称は「11D58M」。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン)」 で換算。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。


N-1/SL-15 ...Moon Rocket


セルゲイ・コロレフを中心に開発されていた N-1 ロケットは有人月面着陸計画のための大型ロケットだったが、その打ち上げはことごとく失敗し、旧ソ連が密かに進めていた同計画をなきものにしてしまった。システム的に相当無理があったことはロケット・エンジンの数だけみてもわかる。

ステージ構成をみてみると(1969年2月21日打ち上げ時)、一段目(Block A)が NK-15 engine(Thrust:約171トン) x30 = Thrust:約5130トン、二段目(Block B)は NK-15V engine(Thrust:約179トン) x8 = Thrust:約1432トン、三段目(Block V)が 11D54 engine(Thrust:約164トン) x4、四段目(Block G)は NK-19 engine(Thrust:約4.5トン) x1、そして五段目(Block D)は RD-58 engine(Thrust:約8.5トン) x1 となっている。推進剤は、全段とも液体酸素 LOX/Liquid Oxygen)とケロシン(Kerosene) を使用し、離陸時の推力は約4400トンである。全長約105mで、直径は約17m、重量が約2735トン。なお、ペイロードは約70トンである。

これだけの数のエンジンを制御するのは無理だろう。特に第一段目の「30」は尋常ではなく、打ち上げの失敗が初期のステージに集中しているのも当然である。N-1はロケット版バベルの塔といえる。

旧ソ連(CCCP) の有人月面着陸計画については西側でも様々な「憶測」が飛び交っていたが、実際のところは技術的にも体制的にもアンバランスで、アポロ8号(有人月周回飛行)に先を越された「あせり」と、妙な「覇権争い」のみが際立っていたようである。

それにしても米国は良きロケットを得たものだ。もしもサターン・ロケット(I /IB/V)の開発に失敗していたら、おそらく、有人月周回飛行(アポロ8号)、有人月面着陸(アポロ11号以降)はなかっただろう。

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※ SL : Satellite Launching の略(西側の呼称)。
※ NK-15 engine : 一段目で使われているエンジン。別名称は「11D51」。
※ NK-15V engine : 二段目で使われているエンジン。別名称は「11D52」。
※ NK-19 engine : 四段目で使われているエンジン。別名称は「11D53」。
※ RD-58 engine : 五段目で使われているエンジン。別名称は「11D58」。
※ 重量 : 「1 lb(常用ポンド) = 0.4536 kg」 で換算。
※ 推力 : 「1 kgf = 2.20462 lbf(重量ポンド) = 0.001 tf(重量トン) 」 で換算。
※ Payload/ペイロード: Launch Vehicle(打ち上げロケット)などを除いた搭載量。有料荷重。スペースクラフト/宇宙船などの重量。

※ 上述のように N-1 ロケットの開発自体は散々なものだったが、一方、有人月着陸の「実地訓練」は、シミュレーションを含めかなりのレベルにまで達しつつあったようだ。ちなみに、人類で初めて月面に第一歩をしるすはずだったコスモノートの名はアレクセイエフ・レオノフ(Alexei A. Leonov)である。



End of Russian Rockets Launch Vehicles

__ Reference
National Aeronautics and Space Administration (NASA)
Kennedy Space Center (KSC)
Jet Propulsion Laboratory (JPL)
Goddard Space Flight Center (GSFC)
Johnson Space Center JSC Home Page (JSC)
National Space Science Data Center (NSSDC)
American Astronomical Society (AAS)
CHECKOUT and LAUNCH CONTROL SYSTEM PROJECT (CLCS)
Russian Rockets (1)-(9)

_ Writer
masaakix yokohama japan
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